各メーカーから発売されているアクリル絵の具を見ると、黒はジェットブラック、ランプブラック、アイボリーブラック、マースブラックなど、様々な名前の黒が存在します。ややこしいのは各メーカーに1つの黒色ではなく2つ程度の黒色があることがあります。
この時違いを見極めるのに役に立つのがチューブに表記されている表や値です。例えばターナー色彩株式会社から発売されているターナーアクリルガッシュにはジェットブラックとランプブラックがあります。マンセル値を見るとジェットブラックはN1.5、ランプブラックはN2.0です。つまりジェットブラックのほうが暗い黒なのが分かります。
実際にジェットブラックとランプブラックを隣り合わせに塗ってみると、ジェットブラックが漆黒なのに対しランプブラックは少し明るく、同じ黒なのにもかかわらず二色の違いははっきりと認識できます。
ターナー色彩株式会社はアクリルガッシュのwebページでランプブラックのほうが絵の具を混ぜ合わせるのに適していると言及しています。※1
また混ぜる以外の用法としてこの黒の差をあえて利用しランプブラックとジェットブラックのみで色面を作ってしまうという手があります。
この際薄めて水彩風に描くよりもマットに塗った方がよりはっきりとした効果を得ることができます。
黒と同じようにホワイトにもチタニウムホワイト、ジンクホワイト、チャイニーズホワイトなど様々な名前のホワイトが各メーカーから発売されています。
どのような違いがあるのか、例としてゴールデン社(Golden Artist Colors, Inc.)のヘビーボディアクリリックカラーズ(Heavy Body Acrylic Colors)のチタニウムホワイトとジンクホワイトの絵の具の表記を見てみます。※2
【ジンクホワイト】
透明度7、光沢度58.87
【チタニウムホワイト】
透明度2、光沢度43.15
ジンクホワイトはチタニウムホワイトよりも透明度が高く、艶があり、チタニウムホワイトよりも下地の隠蔽率が低いということがこれらの表記でわかります。
ホルベインの白は、チタニウム ホワイトは高白度で効きが強く、チャイニーズ ホワイトは透明で穏やかな色である※3と言及しています。
自分の表現に合った黒や白を使うために、その絵の具がどのような特性を持っているのか知ることが重要です。
参考元
- ※1ターナー色彩株式会社「ターナーアクリルガッシュ 混色について」
- http://turner.co.jp/art/gouache/series/mixing.html
- ※2 Golden Artist Colors, Inc.「Pigment Identification Charts HEAVY BODY GROUP」
- http://www.goldenpaints.com/technicaldata/pigment.php
- ※3 ホルベイン工業株式会社「技術情報 Q&A アクリラ ガッシュのチャイニーズ ホワイトとチタニウム ホワイトの違い、ジェット ブラックとランプ ブラックの違いを教えてください。」
- http://www.holbein-works.co.jp/technical_info/2008/10/post-84.html