エアブラシは絵を描いている人や立体制作をしている人ならば一度は手を出してみたいと思う画材なのではないでしょうか。
コンプレッサーによって圧縮した空気を送り込み、絵の具を霧状に飛ばすことで筆では出せないふんわりとしたグラデーションを作り出すことができます。
手入れが大変なことや値段が張ることもあって中々手を出しにくい画材ではありますが、エアブラシはエアブラシでしかできない表現やメリットもたくさんあります。
エアブラシのメリット
- 独特の柔らかい粒子感がある。
- エアブラシは塗料を霧状に吹き付けていますので、とても細かい粒子で描かれます。
絵の具で粒子感を出す技法には他にスパッタリングがありますが、粒のサイズはエアブラシのほうが細かく、安定しており、スパッタリングよりもしぶきを感じさせないのが特徴です。
そのため写実的な絵をエアブラシで描くとノイズのかかった写真の様な質感にすることができます。 - 滑らかなグラデーションができる。
- エアブラシは吹き付けた中心から外側に向かって塗料が薄くなっていきます。そのためどんなに小さな範囲を塗るのにも輪郭に大なり小なりぼかしが入ります。
グラデーションを作ることに非常に長けており、人の肌の滑らかさや影の微妙な色合い、動物のふんわりとした毛、工業製品の反射光や映り込みなどは、このグラデーションが最高に生きるモチーフの一つです。 - 筆と違い筆跡が残りにくい。
- 筆でも筆跡を残さないように描くことはできますが、滑らかさという点ではやはりエアブラシが得意とするところです。
特にアクリル絵の具はそのままだとすぐ乾くため筆で滑らかなグラデーションに塗るためには水を多くするかメディウムを加えなければなりませんし、水の多いぼかしとエアブラシのような滑らかなぼかしは質が違います。 - 立体の着色に向いている。
- 筆を使って立体物をグラデーションに塗りたい場合、平面よりも難易度が上がります。筆が動かし辛いため平面の支持体よりも作業に時間がかかり、その間に絵の具が乾いてしまう可能性があります。
エアブラシは粒子状に絵の具が付くため、一色塗って乾かした上から少しずつ違う色を乗せることでもグラデーションを作ることができます。
エアブラシのデメリット
- 絵の具の粘度の調整は慎重にしなければいけない。
- 濃すぎると目詰まりの原因になりますし、薄すぎても着色に難がでます。
- 道具の手入れが大変。
- エアブラシのハンドピース※1は細かいパーツを組み合わせて作られています。特にニードルなどの繊細な部品はゆがんでしまうと塗料の出方などに影響が出ます。そのため取り扱いを丁寧に、また手入れをしっかりすることを心がけます。
※1手で持つエアブラシのメインパーツ部分の名称。 - 色替えが大変。
- エアブラシは基本的に色を変える際は機械内部に残らないように一色ごとに洗浄しなければいけません。カップの中の塗料を除いて、内部を洗って分解して・・・など、水の中で振り洗いして終わりの筆と比べるとやはりエアブラシのほうが手間がかかります。
- 初期コストが高い。
- 値段はピンキリですが、ハンドピースだけでなくコンプレッサー、塗料代などまで含めると中々お値段が張ります。
- コツを掴むまでが大変。
- ただのグラデーションを作るだけならそこまで大変ではありませんが、エアブラシだけで写実的な絵を描く場合などはエアブラシのノズル口径の使い分け、塗料の量、支持体との距離、エアー圧など様々な要素を考えなくてはいけません。
- 周囲に飛ばないように気を付けなくてはいけない。
- 噴射方向は決まっているため、パーツが緩んでいるとかでない限りはあらぬ方向に塗料が飛ぶようなことはあまりありませんが、夢中になっていると周りが見えなくなり気付かないうちに周囲に塗料が付着してしまうこともあります。
そのためエアブラシを吹く際は囲いや塗装ブースを設けることをおすすめします。 - マスクやゴーグルが必要。
- 一般的に使用されるアクリルエマルション型のアクリル絵の具単体は溶剤を含みませんが、絵の具メーカーのほとんどが目や口に入れないように注意書きをしています。
エアブラシは塗料が霧状になって舞いますので、呼吸器官や目に入らないようにゴーグルやマスクの着用をおすすめします。