溶剤型
有機溶剤を用いて作られるアクリル絵の具を油性アクリル絵の具といいます。
アクリル絵の具開発初期のものもこれにあたります。有名な絵の具に1948年に商品化されたボクー社(Bocour Artists Colors)のマグナ(Magna)、ゴールデン社(Golden Artist Colors, Inc.)のMSA絵の具(Mineral Spirit Acrylic Colors)があります。「ボクー社マグナ(Bocour Artists Colors /Magna)」でも詳しく説明しています。
このサイトで紹介しているような現在の市販アクリル絵の具は、多くのものが水性エマルション型であり、私たちが溶剤型である油性アクリル絵の具を普段目にすることはあまりありません。発色性や、乾燥後も溶剤によって溶かすことができることから、絵画の修復などに使われています。
内閣府のホームページで公開されている国宝である迎賓館赤坂離宮の天井絵画の修復報告書には、ゴールデン社のMSA絵の具の使用が記載されており、「希釈剤はミネラルスピリットであり、将来、安全に除去できる」※1とあります。天井修復前の調査記録に「再修復可能な可逆性のある材料を使用しなければならない」 ※2と記載があることから、将来また修復する際に除去できる、影響の少ない画材を使用したと推測されます。
今では専門的な絵の具であり一般の人が扱うことはないものですが、溶剤型の絵の具は水性エマルション型に比べより正しく扱わないと健康被害が出ることもあるため、メーカーの警告と指示に従い適切な処理をしなければなりません。
引用元
- ※1内閣府「迎賓館天井絵画修復(11)業務報告書 概要版 (45号室) (PDF形式)第3章 修復作業 第1節 総合的な修復方針と方法、第2節 浮き上がり接着(PDF形式:1,632KB)」
- http://www8.cao.go.jp/geihinkan/akasaka/ag_syufukugaiyouban.html
- 最新アクセス日:2017年1月26日
- ※2内閣府「迎賓館天井絵画修復(11)業務報告書 概要版 (45号室) (PDF形式)第2章 修復前の調査・記録 第1節 概要、第2節 状態調査(PDF形式:2,270KB)」
- http://www8.cao.go.jp/geihinkan/akasaka/ag_syufukugaiyouban.html
- 最新アクセス日:2017年1月26日