キャンバスって何?キャンバスの特徴や品質の品見分け方

目次
  1. キャンバスとは?
  2. キャンバスの目止め剤と地塗り
  3. 油性キャンバスとアクリルキャンバス
    1. 油性キャンバス
    2. ユニバーサルキャンバス・アクリルキャンバス
  4. 形状
    1. 張りキャンバス
    2. キャンバスボード
  5. サイズ
  6. 素材
    1. 麻(亜麻)
    2. 綿
    3. 合成繊維
  7. 折り目の荒さ
  8. 画布の質の見分け方

キャンバスとは?

キャンバスとは木枠や板に布を張った支持体の名称です。

本来は帆やテントに用いられる厚手の布のことを指します。(このページでは木枠や板に布が張られた支持体をキャンバス、布のことは画布(キャンバス地)と指します。)

キャンバスは、油絵の展示や、画家のドキュメンタリー番組など、一度は目にしたことがあるかと思います。油彩のイメージを持っている方が多いと思いますが、アクリル画にも使うことができます。

一口にキャンバスとはいっても、目の粗さや材質など多様な選択肢があります。 キャンバスに描いた場合、紙とはまた違う絵の具の吸い込まれ方、滲みやかすれ、布の弾力のタッチが出ます。ジェッソやモデリングペースト等で画面に変化を与えれば、さらに複雑な質感の支持体を作ることができます。 キャンバスの表面に筆が負けて上手く描けない場合は硬い筆を使うかジェッソやモデリングペーストを塗ってヤスリ(サンドペーパー)をかけるなどの下地対策を行ってください。

キャンバスの目止め剤と地塗り

市販されているキャンバスは通常、織り糸を固定し布を保護するための目止めと呼ばれる処理や、発色率を上げ描きやすくするための地塗り処理があらかじめ済んでいるものが販売されています。

これらの下塗りが施された塗料の種類によって、非吸収性(油性)のオイルキャンバス、半吸収性のユニバーサルキャンバスなどに分けられます。これらの他に吸収性(水性)のアブソルバンキャンバスなどがあります。

油性キャンバスとアクリルキャンバス

油性キャンバス

油彩専用の油性キャンバスやボードは地塗りの塗料に油が含まれており、水性であるアクリル絵の具は定着しないため使用できません。

絵の具を乗せられたとしても完全に定着せずに固まるので、衝撃を受けた際に剥がれ落ちる可能性があります。地塗りの上にジェッソを塗った場合でも、ジェッソごと剥がれ落ちる可能性があるため油性キャンバスは避けます。画面にヤスリをかけて油性塗料を落としても布地に塗料の油分が染み込んでしまうことや布自体へのダメージに繋がるので、やはりアクリル画には使えません。

ユニバーサルキャンバス・アクリルキャンバス

地塗りの塗料にアクリルエマルションが含まれているためアクリル絵の具で描くことができます。

油絵の具/アクリル絵の具両用のユニバーサルキャンバスは、アクリル画、油彩画、油彩の下地にアクリル絵の具を利用する際に使用できます。アクリル絵の具専用のキャンバスはアクリル絵の具のみで使用します。目止め剤も地塗りもない生のキャンバスにアクリル絵の具で描くこと、つまり通常の亜麻布や綿布に描くことは可能ですが、布目の動きや伸縮、たわみや強度に影響を受けるので、絵画として細密に描く目的の場合には避けることをおすすめします。

形状

キャンバスには木枠に画布が張られた張りキャンバスと、板などに画布が張られたキャンバスボードがあります。

張りキャンバス

一般的によく見るキャンバスです。木枠に画布が張ってあり、裏が板ではないことから描くときに独特の布の弾みを感じることができます。

木枠の側面に釘で布が固定されている通常のキャンバスと、裏面で固定されている包み張りキャンバス(別名:フローティングキャンバス、3Dキャンバス)があります。包み張りキャンバスは側面に釘がないので側面まで含めた絵画制作ができます。

張りキャンバスは描き終わった後に画布を木枠から離し、木枠に新しい画布を張って使うこともできます。画布の張り方については「キャンバスの張り方」を参照してください。

キャンバスボード

画布を木材やMDF、厚紙に張り込みしたものです。張りキャンバスと違い裏に支えがあるので筆を乗せた時硬い感触になります。薄さや大きさが手ごろなため持ち運びが楽で屋外での使用も容易です。試し塗りをしたいときや習作にも便利です。

サイズ

張りキャンバスに見られるサイズの比率を紹介します。通常「F10号」「M6号」などと表記されます。フランスサイズと日本サイズと国際サイズがあり、大きさが微妙に違いますので注意してください。
各規格の号数の長辺は同じ長さです。例えば日本サイズのF3号M3号P3号S3号の長辺は全て273mmですが、短辺はそれぞれ220mm、160mm 、190mm、273mmと異なります。FやMなどの記号の由来は描くのに向いているモチーフの頭文字です。ただし人物を描くときにFを必ず使うなどのルールがあるわけではないので、自分の描きたいイメージに合った画面サイズのものを選びます。黄金比などから長辺と短辺の長さの関係が決まっていますが、同じ記号でも号数によって誤差があるため厳密な比率ではありません。

サイズ名とその意味

M(Marine=海)長辺と短辺の関係が1:1.6の黄金比率です。キャンバスの中で最も細長い比率です。

P(Paysage=風景)長辺と短辺の関係が1:1.4の白銀比率です。白銀比は二分割しても同じ比率になる性質を持っています。Fよりも細長い比率です。

F(Figure=人物)Mを二分割したものがこのサイズです

S(Square=正方形)長辺と短辺の関係が1:1の正方形のキャンバスです。

素材

麻(亜麻)

この「麻」は、日本で古く着物などに使われていたアサ科の「大麻」ではなく、アマ科の「亜麻(アマ)」を指します。リネンとも言います。画布の中でも最もスタンダードに使われている素材で、織り目が動かず安定しています。熱に強く、綿に比べ湿度による伸縮が少ないため油彩画でよく使用されます。アクリル絵の具の上に油絵の具で描く場合はおすすめです。

綿

麻より安価な画布で、麻よりも滑らかな画面が特徴です。吸水性が高く湿気によって伸縮する特性上、麻より下のランクに位置づけられる傾向があります。アクリル画では絵の具が曲げやたわみに強い性質から、糸の伸縮に耐久があるためよく使用されます。

合成繊維

ナイロン、ポリエステル、ビニロンなどで作られたものを指します。綿などと混紡されることもあります。糸や画面が均一的かつ滑らかなため筆が滑りやすい傾向があります。綿のように湿度による伸縮はなく、丈夫なのが特徴です。

折り目の荒さ

目の荒さによって薄く描いたときの滲み具合や濃く乗せた時の盛り上がり方も異なります。また荒目にジェッソなどで下地を作って目を目立たなくさせたキャンバスと細目のキャンバスでも違う質感や使用感になります。描きたい絵をしっかりイメージして織り目を選びます。

細目 中目 荒目
特徴 目が密で、滑らかな画面です。布地をできるだけ出したくない場合や、繊細なタッチで描きたいときに使います。 スタンダードに使われている中間の目です。絵の具も乗りやすく織り目があまり目立ちません。 織り目が大きく表面の凹凸の差が激しいのが特徴です。凸凹を生かした躍動感のあるタッチで描くことができ、荒いかすれを出すこともできます。織り目が出すぎていると感じたら下地にジェッソなどを塗って調整するか中目に移行します。

画布の質の見分け方

キャンバスに使われている画布の値段や品質はピンキリです。
以下の点に気を付けて購入します。

  • 糸の太さが均一である。
  • 織り目が均一である。
  • 織り目が詰まっている。
  • 織り目が欠けていない。
  • 地塗りがしっかり乗っていて繊維の隙間が空いてない。
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