エアブラシの仕組みと操作方法について

どうやって吹き付けているのか

エアブラシは圧縮した空気によって塗料を吹き付けますが、何も触っていない状態だとニードルが塗料出口に蓋をしている状態です。

エアブラシのニードル部品

トリガー(レバー)を引く動作やネジ(ニードルアジャスター)によって蓋をしているニードルを引っ込ませることで塗料出口が開きます。圧縮した空気とともに塗料が外に出ることで吹き付けられます。

ハンドピース

エアブラシのメインパーツで、このパーツのボタンやレバーを操作することで絵の具を吹き付けます。

ハンドピースにはいくつか種類があり、それぞれ使い方が異なります。

シングルアクション

一定の同じ質で塗装したいときや、特に塗料の量に強弱を付けなくても良いもの、簡単なグラデーションなどに向いています。後述のダブルアクションに比べ、ボタンを押すだけなので手が疲れにくいという利点もあります。

ニードルアジャスターというハンドピース後部に付いている調節ネジを回すことで蓋をしている先端ニードルを中に引っこませると、塗料出口が開きます。ボタンを押し圧縮された空気を送り込むことで塗料を吹き付けます。

塗料の量を決めるのはボタンではなくニードルアジャスターのため、少なすぎる、多すぎると感じたら一回一回ネジで調節しなければいけません。

また、ニードルアジャスターを緩めた状態で放置すると、塗料出口が開きっぱなしになり、塗料が垂れることがあります。そのため作業後には必ずニードルアジャスターを閉めるようにします。

作業時の動作や手入れが後述のダブルアクションよりも簡単なことから、初心者向きとして売られていることもありますが、上記のような塗料の量の減増を使って細かい調整をすることには向かないため、エアブラシの魅力を感じるには若干物足りない仕様になっています。

「エアブラシ感」を堪能したい場合は、後述のダブルアクションやトリガーアクションの様な、描きながら塗料の量を調節できるタイプをおすすめします。

ダブルアクション

エアブラシの中でも需要のあるタイプのハンドピースで、ボタンを押して手前に引くという二回の動作で使うタイプです。ボタンを押すと圧縮した空気が送り込まれ、引くと塗料出口が開き、吹き付けることができます。引く程度によって吹き付ける塗料の量を調節します。

シングルアクションの様に塗料の量を一回一回ネジで調節する必要がないため、吹き付け調節しやすいです。絵を描くのはシングルアクションよりもダブルアクションのほうが適しています。

塗装の自由度が高い分、コツを掴むまでにある程度の練習が必要となります。

ノズル口径

あまりにノズル口径が小さいとアクリル絵の具が詰まる危険性もあります。

良く最初におすすめされるサイズが0.3mmの物で、広い面積に吹き付けたい場合はより口径が大きいもの、細かく吹き付けたい場合は口径が小さいものを選びます。

小さい口径のものほど粘度調整や混ぜムラに気を付けないと塗料が詰まる原因となります。ホルベインからエアブラシ用のアクリル絵の具「チェルシー カラーズ」が製造されていますが、パールなどの色は大きな口径で使用することをすすめています。

参考元
ホルベイン画材株式会社「チェルシー カラーズ」
http://www.holbein.co.jp/product/airbrush/airbrush03/color.html

カップ

ハンドピースには塗料を入れるためのカップが備え付けられており、複数の仕様があります。

吸い上げ式

ハンドピースの下部に瓶が付いています。ブラシ先端が見えやすいのと、瓶を複数所持していればすぐに塗料の交換が出来るのが利点です。(ただし色替えの時のハンドピース内の洗浄は重力式と同じく必要です。)

瓶なので重力式よりも重くなりがちです。

重力式

ハンドピース上部にカップが付いています。上から塗料が流し込まれる仕様です。汎用性があり、広く普及していますが、カップの大きさや角度によってブラシ先端が見えにくいのが難点です。

一体型

カップとハンドピースが一体になっています。分離型のように接続ネジ部分に塗料がこびりつくことがありません。

分離型

カップとハンドピースを分解することができます。カップを付け替えることができるため、少ない面積の描写時は少量カップ、広い面積の描写時は大容量カップなど、使い分けることができます。

カップの接続する部分がネジになっていますが、そこに塗料の汚れが付着しやすいため綿棒などでマメに掃除します。

コンプレッサー

エアブラシで吹き付けを行う上で重要な空気を圧縮する装置です。

大きなコンプレッサーからコンパクトタイプ、動作音の大小、値段など、豊富な種類のコンプレッサーがあります。

塗装する塗料の種類や面積、どのくらいの時間作業し続けるのか、ノズル口径などで選択肢が変わってきます。

基本的に大型になればなるほどパワーが強く、動作音が大きくなります。小型のものは持ち運びの手軽さや動作音の小ささにメリットがありますが、塗料の種類を選ぶこと、大きなノズル口径には使えないこと、使用時間の制限などのデメリットもあります。

アクリル絵の具に限って言うと、広い範囲や大量のパーツを一気に塗装しないのであれば、一回吹き付けて乾かすごとに作業は中断されますから、連続使用時間が長くなくても大丈夫なこともあります。

レギュレーター

空気はコンプレッサーによって圧縮されますが、レギュレーターはつまみによってこの圧を調整する役割を担います。

瓶がついており、空気を圧縮した際にでる水分をハンドピースへ送らないよう、水分を除く役割を果たします。使用した後や、吹き付けているときに水が混じる場合は中の水を取り除きます。

マスクとゴーグル

一般的に使用されるアクリルエマルション型アクリル絵の具は、水などで希釈する場合は有機溶剤を使わないもののため中毒の心配はありません。

しかし、絵の具のチューブやパッケージに目や口に入れないように注意書きあることや、中にはカドミウムなどの有害物質が含まれる絵の具もあることから、体内に入れることは極力避けるべきです。

エアブラシは塗料が霧状になって舞いますので、ゴーグルや防塵マスクなどの着用をして呼吸器官や目に入らないように注意することをおすすめします。

もしアクリル絵の具以外に有機溶剤系の塗料などを吹く予定があるならば、ガスの種類に合わせた防塵兼防毒マスクと作業用ゴーグル着用を強くおすすめします。

絵の具の毒性やその表記については「毒性について」で説明しています。

洗浄用品

洗浄液やクリーニングポットは絵の具メーカーやエアブラシメーカーから発売されています。

エアブラシメンテナンス時の注意点

ハンドピースの塗料を落とすために使います。塗料を溶かす目的でハンドピースやパーツを浸したまま放置してしまうと、エアブラシのパーツパーツの隙間を埋めているゴムが劣化してしまう危険性があるため、浸しておくためにはゴムパーツを全て外す必要があります。

ゴムパーツは黒いことやネジ部分の間にぴったりはまっていて見つかり辛いことがあるため、クリーナーに浸す場合は必ず分解して注意深くパーツが残っていないか確認します。

洗浄液を中に残さないために、メンテナンス後は水洗いや、カップに水を入れて吹き付け、うがい洗い※を行います。

※水や洗浄液をカップに入れ、エアブラシの吹き出し口部分をティッシュや布などで抑えた状態で吹き付けることによって、空気をハンドピース内からカップまで逆流させ、内部を洗浄する方法。塗料カップからぶくぶく泡が出てはねるため目に入らないように、汚れないように気を付けます。

また吹き出し口を押えつけすぎてニードル先端を曲げることのないように気を付けます。

クリーニングポット

中に残った塗料や洗浄液を吹いたり捨てたりするためのポットです。無くても問題はありませんが、霧を空気中に散らさないため、作業環境の汚れを防ぐことや霧の吸引防止に役立ちます。

綿棒

普通の綿棒です。エアブラシは構造が細かいため、ネジ部分や入り組んだ部分などに塗料が残ることがあり、その場合は綿棒でこすって落とします。繊細なパーツ部分は力を入れすぎると歪んでしまうため気を付けます。

エアブラシメンテナンス時の注意点

パーツの取り扱いは慎重にする。
エアブラシは細かいパーツが多く、ニードルなどの繊細なパーツがゆがむと壊れる可能性があります。清掃時の分解は、できる限り丁寧に扱い、洗浄後はしっかりと乾かします。
分解後再度組み立てる際にも無理やり押し込んだりしないように気を付けます。
クリーナーに浸す場合ゴムパーツは外す。
分解していくとパーツとパーツの間に黒いゴムのリングがあることがあります。クリーナーはこのパーツを劣化させますので注意します。
動きが悪いときはグリスを使う。
分解すると、パーツ要所のネジ部分にねとっとしたものが付いているのが分かります。これは滑りを良くするためのグリスで、分解して掃除などを繰り返しているとだんだん落ちてしまうため、その場合は自分でグリスを塗り直します。
この際グリスはゴムを劣化させないタイプのものを使うようにします。
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