その他支持体ごとの下地の作り方(木・金属 etc)

アクリル絵の具は紙やキャンバス以外にも様々なものに描くことができます。

発泡スチロール・押出法ポリスチレンフォーム

発泡スチロール(EPS:Expanded Polystyrene=ビーズ法ポリスチレンフォーム)や押出法ポリスチレンフォーム(XPS:Extruded Polystyrene)を削り出して制作した立体には、絵の具のノリを良くする目的や、表面の凹凸を埋める目的のためにジェッソなどを下地材として塗ることがあります。

下地材を施さずにそのまま絵の具を塗ると表面の凸凹がそのまま出ます。表面が滑らかな立体を作りたい場合は押出法ポリスチレンフォーム(ダウ化工株式会社「スタイロフォーム」など)を削り出し、下地を施すのがおすすめです。

ツルツルな立体にしたいときのコツをいくつかご紹介します。

削り出しから丁寧な仕事を心掛ける。
最初はざっくりと面をとるようにカッターやスチロールカッター※1で切断していきますが、この時に道具の刃が良くないと表面に引っかかって上手く切断できないことがあります。引っかかって表面に穴などが開いてしまうとまたそれを後で埋める作業が必要になり二度手間となるため、面取りだからと雑にやらずに丁寧な作業を心掛けます。
立体自体を十分にやすって平滑にする。
立体自体の表面が荒れているとその後の下地作業がとてもやり辛くなります。ジェッソやモデリングペーストはある程度の穴埋め作業ができるとはいえ、表面が荒いほど塗ってやする作業回数が増え余計に面倒くさいことになります。下地の無い状態でもある程度表面を滑らかにやすった状態にしておくと下地作業がスムーズになります。
表面の凹凸がなくなるまで、下地材を塗ってやすることを繰り返す。
ジェッソを塗って乾かし、やすることを繰り返して表面の細かい凸凹を潰していきますが、時間短縮のためにモデリングペースト等で先に凹凸を埋めてやすった後、最後の表面の仕上げをジェッソで行うこともあります。
最初は荒めのやすりで、徐々に番号を細かくして滑らかにしていきます。

そのままでも描けますが、保存性を保ちたい場合はまず雑巾などで木の汚れやゴミを拭き取り、その後ヤニやアクを止めるシーラー(アクリル絵の具製造会社だとターナー色彩やホルベインがメディウム類と一緒に出しています。)を下地に塗ります。

さらに、グロス系やジェル系メディウム、ジェッソなどを下地に塗ることで滲みや汚れの防止、描きやすさを調整することができます。

金属

金属用プライマー※2を施した上から描きます。またプライマーを施す前にヤスリなどで表面を荒らすことで絵の具の食いつきを良くすることができます。

プライマーは金属の種類によっては適さないこともありますので、容器に記載されている材質のみ使用します。

また、絵具の水分によって錆がでることがあるため注意します。

そのまま描くことができます。隙間などを埋めたい場合はモデリングペースト等で埋め、場合によっては下地にジェッソを塗ります。

ガラス

ガラスは平滑なため、そのまま直接塗っても絵具が乾いたときにポロポロ剥がれてしまいます。ガラス用プライマー※2を施すことで絵の具の剥落を防ぎます。

また、ガラスの下地作りとして、磨りガラスの様な表現にすることや専用のマスキングシートと併用することで任意の絵柄に彫刻することのできるサンドブラストという加工法があります。

サンドブラストについては「サンドブラスト加工」で説明しています。

※1熱棒や棒に張られた熱線を当てることでスチロールを溶かしながら滑らかに切断する道具。メーカーの注意書きに従って使用してください。

※2各プライマーの使える素材については、ホルベイン工業株式会社の様に、一覧の資料を提供している会社もあります。

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